「褒める」と「勇気づけ」の違い

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前回の「褒めない」「叱らない」の続きです。
アドラー心理学ではあなたが思う「正解/正しさ」に

 ・合致した場合が”褒める”
 ・逸脱した場合が”叱る”

この2つを通して、相手の思考や感情や行動をコントロールしようとする
これを避けたいがために

「褒めてはいけない」
「叱ってはいけない」

という表現をしているわけです。
では、どうするか?それが今回ご紹介する
「勇気づけ」というコンセプトです。

勇気づけとは

 ・困難に立ち向かう力
 ・困難を克服する活力

などと定義づけられることが多いですが、僕の感じだと…

 ・「よしやろう!」「頑張ろう」と思えて実際に取り組める力
 ・前に進もうと思える力
 ・未来を自ら切り拓く力

こういう表現のほうがしっくりくる感じです。

—–

アドラー心理学をちゃんと学んでる方からしたら…
「ちょっと違う!」とお叱りを受けるかもしれませんが、
「人それぞれ認知が違う」ということでご容赦くださいませ。
—–

ということで前置き長くなりましたが、「褒める」と「勇気づけ」の違いを
今回は一気に結論というか比較をお伝えします!

◆を「褒める」として
◇を「勇気づける」として

以下に書きますね。

《定義》

 ◆相手の優れている点を評価称賛する行動
 ◇相手が自らのチカラで未来を切り拓こうと思える関わり

《関係性》

 ◆上下関係に基づく
 ◇対等、ヨコの関係に基づく

《タイミング》

 ◆自分の期待していることを相手が成し遂げたとき
 ◇何かを達成しようがしまいがあらゆる状況で実施

《対象》

 ◆分かりやすい能力や見える成果結果に対して
 ◇取り組むプロセスや存在そのものに対して

《視点》

 ◆自分の視点で
 ◇相手の視点で

《態度》

 ◆評価的な態度で
 ◇共感的な態度で

《目的》

 ◆相手を称賛したり(意識的無意識的に関わらず)コントロールしようとして
 ◇相手が自分のチカラで前に進めるように

《実施方法》

 ◆能力や成果結果を称賛する
 ◇貢献に対する感謝を伝えたり自分に生まれたよい感情を伝える

《効果》

 ◆その結果他人の評価を気にして褒められないと頑張らないということが起こる
 ◇その結果他人の評価よりも自分の軸に気づき自立して行動するようになる

 (小倉広 著「アドラーに学ぶ部下育成の心理学」より一部抜粋&一部改編)

 そんなの分かってるよ!

とか

 それができたら苦労しないでしょ!

とか

 子育ては、教育の現場は、部下育成は、
 そんな甘っちょろいこと言ってられない!!

とか色々聞こえてきそうです。
1つ大前提ですが…

「勇気づけ」が100%良くて
「褒める」が100%良くない

ということではなく

 ・違いがあること
 ・あなたが意識的に選択できること

そのお役に立ったらいいなと思ってご紹介しました。
簡単に言うと…

 『人参食べたの? わぁ、エライね!』
 これは「褒める」ですよね?

 『美味しそうに食べてくれてママ、作った甲斐がある♪』
 これは「勇気づけ」になるわけです。

もっと正確に僕が持ってるニュアンスを伝えるとしたら
そもそもですが「勇気づけ」ではなくて
「勇気きづき」なんですよね。

元々その人の中に勇気は存在してるけど、今日ここまでいろんな出来事があって
封印してしまったり、使い損ねていたり、枯れたと思いこんだり…。
たまたまそうなっている状態の人に

「あっ!湧いてきた!」
と気づいてもらうってイメージです。

こちらが持ってる勇気を渡すのではなく
元々ある「勇気の源泉」からまさに”湧き出る”きっかけを与える感じです。